チュンソフト代表取締役社長
作 品
学生時代に自作プログラムのパソコン用のゲーム「ドアドア」で、エニックスゲームコンテストに入賞。
その後に同じコンテストに出ていた堀井雄二とともに「ドラゴンクエスト」を制作する。(プログラムを担当)
「ドラゴンクエスト」は
「I」から「V」のプログラムを担当。
その後は、サウンドノベルシリーズの「弟切草」「かまいたちの夜」
不思議のダンジョンシリーズの「トルネコの大冒険」「風来のシレン」をリリース。
最新作は、サウンドノベルシリーズの「三年B組金八先生」。
解説
20年程前、個人がパソコンでプログラムを制作し、それを売り出して、印税で稼ぐ。
こんな事が出来た時代がありました。
今のゲームは規模が大きくなって一人の人間が作ったゲームが大ヒットなんてことは到底考えられません。
それがちょっと寂しくもあります。。。
この中村光一さんもその時代に、いくつかのパソコンゲームを開発して、会社を立ち上げた方の一人です。
「ドアドア」というゲームを制作して、エニックス(現スクウェア・エニックス)のゲームコンテストで入賞。
パソコンでもファミコンでも売り出されました。
このコンテストでは、当時週刊少年ジャンプの原作者だったドラクエの作者、堀井雄二氏も入賞しており、ここで知り合ったのがきっかけで「ドラゴンクエスト」のプログラムを担当することになります。
ドラゴンクエストのプログラムを担当した後は、サウンドノベルシリーズ「弟切草」「かまいたちの夜」、不思議のダンジョンシリーズを 、不思議のダンジョンシリーズ「トルネコの大冒険」「風来のシレン」を制作。
この人の作るゲームは、ビジュアルの美しさのたよらずに、ゲームのルールがとってもしっかりしていて何度でも楽しめる特徴があります。しかも新しい面白さをあわせもっています。
いわゆるゲームの面白さのツボを押さえたゲームを作られるんです!!
例を挙げると、、、
サウンドノベルシリーズでは、小説を読む面白さに、想像力をそこなわないように、ちょうどほどよいビジュアルと効果音を加えることによって、より臨場感のある物語を楽しむ面白さを実現しています。
不思議のダンジョンシリーズは、ダンジョン(モンスターのでるところだと考えてください)に入って宝探しをするのですが、その中で敵に倒されると、主人公の成長と持っていたアイテムがすべてチャラ、ダンジョンから抜け出ると主人公の成長がチャラになるというルールと、主人公は食事を取らないと、動けなくなり、そうなるとまたまた、持っていたアイテムをすべて取り上げられてダンジョンから追い出されるというルールがしかれています。
このルールは、 ダンジョンから引き上げるタイミングをいつにするのかという緊張を生みます。
しかも、そのダンジョンから引き上げるアイテムも最初からダンジョンに持ち込まない限りは、ダンジョンで現地調達となるので、、、
「目的地まであともう少しなのに、引き上げようかどうしようか…」
「食料が見つからない!!。引き上げるのにもアイテムがない。」
「強い武器を手に入れた!!、、、、けど、引き上げるアイテムがない、、、もう回復アイテムもないし。。」
なんて悩みはつきません。そのぎりぎりの緊張感がたまらなく面白い!
まあ、引き上げるのに躊躇していると、、、
「ぎゃあ、せっかくいいアイテムを持っていたのに敵にやられてしまった。」
となってしまって、せっかく集めたアイテムもおじゃんとなってしまいます。
しかも、ダンジョンに入るごとに、主人公の強さは最初のときと同じ強さに戻ります。
だから、主人公が強くなって簡単にダンジョンの奥に進めるようにはなっていかないんです。
ある程度ゲームが進むと、ダンジョンで手に入れたアイテムを数個選んで持っていけるようにはなるのですが、
それでも、主人公の強さは、最初のときと同じ強さで始まるのです。
これがどういうことかというと、ゲームがうまくなるのは、ゲーム中の主人公が強くなる(レベルアップ)やより役にたつアイテムの入手などによって、なされるのではなく、プレイヤーがうまく敵を倒したりやりすごしたりコツをつかんだり、効率的なダンジョンの探索方法を見つけるなど、ゲームプレイ上の経験をつんでなされるということです。
自転車を乗り始めたころは、なかなかうまく乗れなくても、だんだん、自分が成長してのれるようになっていく。
そんな自分がどんどん成長していく感覚が味わえるです!!
このように中村光一さんは、ゲームのルールをうまく設定することによって、そのルールでうまく楽しめるゲームを作るのが非常に得意とされています。
まさに、真っ向勝負のゲーム作りをされます。
ただ、「ルール作りがうまい」というと、そればかりに気をとられて、肝心のゲームのやりやすさ。
たとえば、ただ動かしているだけで気持ちいいというような原始的なゲームならではの楽しさがおそろかとなって、
なんだか、頭でっかちの苦しい、やりにくいゲームになっているかも、と心配されるかもしれません。
ところが、そうではないのです。
中村さんは、、、
「よくウィンドウや戦闘のテンポ感をほめていただけるのは、私がずっとアクションゲームを作ってきたからだと思っているんです。テンポにこだわりがあるんですね。気持ちがいいゲームは、ボタンを押しているだけで気持ちがいい。「ドラクエ」はRPGだけれども、非常にテンポを気にしてアクションゲームのように作っています。」
(ドラクエについて ファミリーコンピュータ 1983-1994より)
「あれも表示形式を決めるまでに、さまざまな試行錯誤があったんです。カラオケのように文字がどっと単位で出てくる方法を試したり、文字をスクロールさせたり、1文字ずつ表示する方法を試したり……、目を動かして、目で楽しみながら、文字を読めるようにするにはどうしたらいいか。いろいろな実験を経て、今のサウンドのベルの表示形式になったんです。ゲームは何十時間も遊ぶものなんで、基礎的な部分の研究をしっかりしておかないと、プレイする人にものすごくストレスを与えてしまう。私たちはとにかく快適に遊べるようにゲームを作っているんです。」
(サウンドノベルの形式について ファミリーコンピュータ 1983-1994より)
とこのように、普通のゲーム以上に気を使って、そのあたりは制作されています。
単純だけど、奥深く、ビジュアルでごまかさずに、ゲームのルールで遊ぶ人を楽しませる
「真っ向勝負」のゲーム。そんな中村光一さんのゲームの世界を味わってみてはいかがでしょうか?
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